09:00

12:30
15:00

18:30

休診:水曜午後 土曜午後 日曜 祝日


内科 循環器内科 呼吸器内科

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、「慢性に経過する(Chronic)、気道の内腔が狭くなる(Obstructive)、肺の病気(Pulmonary Disease)」で、肺の生活習慣病とも呼ばれる進行性の肺疾患です。
従来、「慢性気管支炎」「肺気腫」といわれてきた病気がこれに含まれ、両方が混在することも多いため、まとめてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ぶことになりました。

近年増加傾向にあり、患者の90%以上は喫煙が原因と考えられ「たばこ病」とも呼ばれていますが、一部排気ガスなどの大気汚染物質を吸い続けた人にも発症します。

自覚症状はあるものの、進行がゆっくりで病気と考えられることが少ないのも特徴です。
しかし、厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成22年1年間の慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎と肺気腫)による死亡数は1万6,293人で、死因全体の上位9位に(平成21年は10位)なり、今後、死亡原因の多くを占めるようになるであろうと予測されています。また全世界的に見ても増加しており、2020年までに全世界の死亡原因の第3位になると推測されいます。
また、以前は男性の病気とされていましたが、近年、若い女性を中心に喫煙率が上がっているため、女性にとっても注意すべき病気の一つです。女性は男性よりたばこの害を受けやすいといわれ、今後、女性の患者の急増が見込まれています。

肺気腫

肺気腫とは、喫煙経験のある高齢男性に多い病気のひとつであり、重篤な呼吸器系疾患です。
気管支の先端にある肺胞という袋状の構造が主に喫煙などの影響により破壊され機能しなくなり、その空いたスペースに空気が貯まって膨らんだ状態になっています。
肺胞が機能しなくなるとガス交換の効率が悪くなり、体内では酸素不足を招き、様々な異常が起こります。
一度壊れた肺胞は元にもどすことができないため、早期発見・早期治療が求められる進行性の病気です。

近年、肺気腫と慢性気管支炎が慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病名にまとめられましたが、気流閉塞(空気が流れていない状態)を伴わないケースは、これまで通り肺気腫と診断されます。つまり肺気腫とは、物理的には肺胞が破壊されているが、空気の流れがある状態であり、空気の流れも遮断されていればCOPDと診断されることになります。

原因

喫煙の影響が最も大きいと考えらます。この他に排気ガスなどの大気汚染物質を吸い続けた人にも発症します。
肺組織の老化や慢性の気管支炎、喫煙と大気汚染などが複雑に絡み合って、病巣が形成され、肺組織の老化が始まる40歳・50歳代のころに発病すると考えられています。

症状

  • 息切れ、呼吸困難
  • 咳、痰
  • むくみ
  • 頭痛
  • 口をすぼめてゆっくり呼吸

この中でも、息切れ、呼吸困難が主な症状で、入浴中や体を動かした時に強く現れる傾向があります。

pagetop

慢性気管支炎

慢性気管支炎は、気道の粘液の分泌が過剰になり、その結果、痰が多くなって、咳発作が長期的に継続する病気です。一般的には、痰と咳が2年以上連続し、毎年3ヶ月以上継続する場合と定義付けられています。近年、慢性気管支炎と肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病名にまとめて呼ばれるようになりました。

適切な治療を行えば問題はありませんが、放置すると、痰がたまって気道が狭くなり、気管支の壁が厚くなります。そして、柔軟性が失われ、ますます空気が通りにくくなり、肺の中の空気が新鮮な空気と入れ替わらず、必要なだけの酸素を肺から取り込めなくなってしまいます。このように、症状が進むと呼吸不全をともなう恐れもあるので注意が必要です。

原因

  • 喫煙
  • 排気ガスなどの大気汚染物質
  • 寒冷や湿度の低下による気道の防衛機構の低下
  • 有害物質を扱う職業
  • 加齢
  • 遺伝的な体質
  • 体力の低下

上記の中でも特に、長期にわたる喫煙習慣がかかわっている場合が多くみうけられます。

症状

  • 咳、痰
  • 血痰
  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 口唇や指・爪などが紫色になるチアノーゼ

予防法

  • 禁煙
  • 空気清浄機などを使って室内の空気をクリーンにする
  • 帰宅後、すぐに手洗いとうがいの励行
  • 暴飲暴食など生活習慣の見直し
  • 過労に気をつける
  • 食生活の改善
  • 晩秋から冬季にかけて悪化しやすいので、保温と保湿に十分気をつける。ガスストーブの使用は控える。
  • 息切れがある場合は、ぬるめの湯で入浴する
pagetop

気管支喘息

気道狭窄(気道が狭くなる)の時におこる、発作性の呼吸困難を総称して、「気管支喘息」と呼んでいます。
呼吸にともなって、胸が「ゼイゼイ」、または「ヒューヒュー」という呼吸音を喘鳴(ぜんめい)といいます。この喘鳴が多いのが特徴で、発作が治まると何もなかったかのように普通の生活にもどる可逆性のある病気です。

COPDと気管支喘息は時に混同されて扱われてきました。数年前の日本呼吸器学会のガイドラインでも肺気腫、慢性気管支炎と気管支喘息との総称として扱われてきていました。しかし、気管支喘息は治療によって改善する可逆的疾患であるのに対し、COPDは「完全には可逆的でない気流制限を特徴とする疾患である。」と定義づけられるようになりました。

原因

気管支喘息は気管支に炎症を引き起こす原因によって、アレルギー型と非アレルギー型に大別されます。
また、発症と悪化には、複合的な要因がかかわっています。

アレルギー型

  • ハウスダスト
  • 花粉
  • カビ
  • 犬や猫の毛
  • ホコリ
  • ダニ

上記以外にも食品や薬品など、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に侵入することで、アレルギー反応が起こり、これが長時間続くことで気管支が「慢性的な炎症」を起こしてしまいます。
慢性的な炎症を起こしている気管支は、非常に敏感なため、その状態で冷たい空気を吸ったり、急に運動をしたりすると、気管支は過敏に反応してしまいます。アレルゲンには個人差がありますが、アレルギー体質は、高い確率で遺伝するとされ、家族や親族にアレルギー性疾患をもった人がいると、喘息を発症しやすいとされています。

非アレルギー型

  • 自律神経失調
  • ホルモン分泌の乱れ
  • 季節の変わり目などに起こる急激な温度の変化
  • 過度なストレス
  • 排気ガスなどの大気汚染物質
  • 喫煙、タバコの煙
  • 食品添加物

症状

  • 「ゼイゼイ」、または「ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴)
  • 咳き込む
  • 息苦しい
  • 呼吸困難
  • 胸の痛み
  • のどの違和感

発作は多くの場合、夜中から明け方にかけて起こり、日中はおさまる傾向があります。発作のないときはほとんど正常です。
気管支喘息は、息を吸う時よりも吐く時の方が苦しいのが特徴です。
あまりの苦しさに横になることもできず、肩で呼吸をするなどして、就寝が困難になる場合もあります。
気管支喘息が悪化すると話をすることも難しくなり、血液中の酸素が不足して顔色は真っ青に、唇や爪は紫色になり、場合によっては失神したり、呼吸困難で亡くなることもあるため、注意が必要です。