血圧とは、血液が血管の中を通るとき、血管にかかる圧力のことをいいます。高血圧とは、血管に強い圧力がかかり、血管に負担をかけすぎている状態をいい、進行によっては心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる恐ろしい病気です。
「たかが高血圧」と軽視するのは厳禁。高血圧にならないよう予防すること、すでに血圧が高い場合には高血圧と上手に付き合い適切な治療を受けることが非常に重要です。
高血圧の10%程度は、はっきりした原因が分かっていますが、多くの方は原因不明とされています。 高血圧を発症する要因として、先天的な要素と後天的な要素が絡み合うことが挙げられます。元々血圧が上がりやすいといった先天的な要素(遺伝的要素)と、睡眠不足、食生活のバランスの崩れ、運動不足などといった後天的な要素(よくない生活習慣)があり、明確な判断がつきにくいのが現状です。
分類 | 最高血圧 最低血圧 |
---|---|
至適血圧 | <120 かつ <80 |
正常血圧 | 120〜129 かつ 80〜84 |
正常高値血圧 | 130~139かつ/または85~89 |
I度高血圧 | 140~159かつ/または90~99 |
II度高血圧 | 160~179かつ/または100~109 |
III度高血圧 | ≧180かつ/または≧110 |
(孤立性) 収縮期高血圧 |
≧140 かつ <90 |
※赤字部分が一般的にいう高血圧。(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」より)
※ 但し、血圧は1日のうちでも大きく変動し、緊張したときや運動をしたときには血圧が大きく上昇したりします。一時的に血圧が正常範囲を超えて上昇するというのは正常な反応であるため、高血圧とは呼んでいません。
高血圧の主な症状には、頭痛、めまい、吐き気、肩こり、耳鳴り、動悸、息切れなどがありますが、高血圧特有の症状だとはっきりわかる自覚症状がなく、初期には自覚症状がなく「サイレントキラー」とも呼ばれています。
しかし、高血圧を放置すると、脳卒中や心臓病など命に関わる病気を引き起こす恐れがあるため、高血圧の症状が出ていなくても、定期健診や定期的に家庭用血圧計などで血圧を計る習慣をつけて、高血圧を早期発見しましょう!
高血圧が怖いといわれるのは、高血圧は生命にも影響を及ぼすようなとても恐ろしい合併症を引き起こすからです。その中でもとくに重要なのが、「脳」と「心臓」の疾患です。
代表的なものに脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。
脳梗塞は脳の血管が動脈硬化を起こして細くなり、血管が詰まってしまう状態です。詰まった先にある脳細胞は壊死を起こすため、発声に障害が出たり体が麻痺したりと深刻な後遺症をもたらします。 脳出血とくも膜下出血は脳の中で血管が破裂して出血を起こしたもので、場合によっては死に至る場合もあります。
かつては高血圧と最も関係が深い脳卒中といえば脳出血でしたが、最近では脳梗塞による死亡者数のほうが脳出血を上回るようになりました。
代表的なものには心不全、狭心症、心筋梗塞などがあります。
心不全は高血圧のため心臓が強い圧力で拍動し続けた結果、心臓の筋肉が異常に肥大し収縮力が弱まり、からだが必要とする量の血液を送り出せなくなった状態です。
また高血圧は動脈硬化を促進しますが、狭心症は動脈硬化によって引き起こされます。心臓の冠動脈が動脈硬化によって細くなり、一時的に心筋が虚血状態に陥ったものです。そして、冠動脈が完全に詰まってしまい、血流がストップして心臓の細胞の一部が壊死したものが心筋梗塞です。
腎不全や糖尿病などがあります。
腎不全は高血圧によって促進された動脈硬化によって引き起こされます。体内で生じた老廃物は、血液によって腎臓に運ばれ、腎臓の中にある網目のような構造をもった「糸球体」で濾過されて、尿として体外に出ていきますが、動脈硬化によって濾過機能が低下して、老廃物の排泄が正常の30%以下になった状態です。
また、糖尿病は高血圧と相関関係にあります。高血圧の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は高血圧になりやすいといわれています。そのため高血圧の人は糖尿病に十分に注意しなければなりません。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
75歳未満の成人 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) 冠動脈疾患患者 CKD患者(蛋白尿陽性) 糖尿病患者 抗血栓薬服用中 |
130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害患者 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) CKD患者(蛋白尿陽性) |
140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
「高血圧治療ガイドライン2019」出典
高血圧の方に限らず一般の人でも、病院や診療所で測ると家庭よりも高い数値が出ることが多いことがわかっています。病院や健診では緊張などで血圧値が上がり、家庭ではリラックスしているためこれより低くなります。
診察室で測定した血圧は「診察室血圧」または「随時血圧」と呼ばれ、家庭で測定した血圧は「家庭血圧」と呼びます。
自身で日頃から生活習慣を見直し、高血圧を予防しましょう! 高血圧の予防には食生活と運動が効果的です。
肥満の人が必ずしも高血圧であるわけではありませんが、高血圧の発症率は肥満でない人の2~3倍も高くなります。肥満の人が減量すると血圧が下がったという例が数多くあります。
運動は血管を拡張させて血圧を安定させ、汗をかくことによって塩分を放出させます。
ただし息があがるほどの激しい運動は血圧上昇につながり注意が必要です。 有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水泳、水中ウォーキングなど)が効果的です。有酸素運動で、血中にたくさんの酸素が取り入れられ、血行がよくなり高血圧の予防になります。有酸素運動は20分以上しなければ効果がないため、 1回の運動は最低でも30分は行いましょう。ご自身の体調やペースに合わせ、毎日無理せず適度に行う事が重要です。毎日が無理な方も週3日以上、行うようにしましょう。
少量なら問題はありませんが、多量になると興奮してしまい、高血圧へとつながります。
喫煙は交感神経を過剰に刺激し、高血圧の原因となります。 完全に止められなければ、少しづつでも本数を減らすようにしましょう。
濃い味付けを好み、長い期間、塩分過多の生活を続けていると、血圧が上がりやすくなります。 また塩辛い味付けにより食欲を増し、肥満を促進させているケースも少なくありません。
ストレスが高血圧の直接的な原因となる医学的な確証はありません。 しかしストレスを溜める事でタバコを吸ったり、お酒を飲みすぎたり、暴飲暴食になったりする事はよくあることで、高血圧に間接的に悪影響を及ぼします。 また、個人差はありますがストレスのある人ほど高血圧が多い、ストレスを解消すると血圧が下がるという事例もあります。
心筋梗塞とは、冠状動脈の一部の血液の流れがとだえたために、その部分の心筋に栄養や酸素の不足が生じて心筋細胞が死滅し腐ってしまう病気です。
通常は急性に起こる「急性心筋梗塞 」のことを指し、死亡率が非常に高く、発症した方の3割が死に至る恐ろしい病気です。日本人の病気別死亡順位の第2位は心臓病ですが、その中でも心筋梗塞によるものが最も多くを占めています。
一般に動脈硬化の進んだ高齢者に多く、女性よりも男性に起こりやすい病気です。
心筋梗塞の発症は、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が大きく関係しています。たとえば、動物性脂肪の多い高カロリー食は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、過酸化脂質を増加させます。それらが血管壁に付着して血管を詰まらせたり、血管が破れたりする原因になります。すべての危険因子を避けて暮らすというのも現実的には難しいですが、生活習慣を見直し、予防する事が大切です。
心筋梗塞は、食後、入浴前後、飲酒後、寒い日の早朝、真夏で脱水症状になりやすい時などに起きやすいですので、十分注意が必要です。
急性の心筋梗塞では、発作が30分以上、数時間続くこともまれではありません。前胸部中央、心臓部に突然激痛が起こり、痛みは、しめつけられるような痛みで、狭心症よりも強く、不快感の強い痛みがあります。痛みは持続的で一般には数十分から数時間に及びます。そして冷や汗が出て、顔面蒼白となります。
発作後数時間経つと、心臓機能不全症状があらわれ、不整脈、呼吸困難、むくみ、発熱を伴うこともあります。病状がいったん落ち着いても、1~2ヶ月のあいだに、ふたたび発作が起きることも多く、2~3週間目に髄膜炎や心嚢炎が起こることもあります。この場合も、胸の痛みが起こり熱が出ます。
心筋梗塞の予防は、良くない生活習慣を改善することが大切です。
狭心症とは、主に動脈硬化のために、心臓にある血管(冠状動脈)が細くなって血流が少なくなり、その結果、心臓の細胞に行く血液が少なくなり、発作的に胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。
血流が止まってしまうことはなく、心筋梗塞のように心筋の壊死は起こりませんが、動脈硬化などの症状が進むことで心筋梗塞に移行する可能性もあります。心筋梗塞を予防するためにも、狭心症の診断を受けたら、生活改善を行い、症状が現れないように気をつけ、心筋梗塞への移行を減らすことが重要です。
冠状動脈にできる動脈硬化や血栓は、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が大きく関係しています。良くない生活習慣を続けることによって、狭心症の発症リスクを高め、これらの危険因子が複数重なることで発症リスクは増加します。
代表的な発作の症状としては、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じ、などがあります。大多数は胸部の症状として現れますが、上腹部(胃のあたり)や背中の痛み、のどの痛み、歯が浮くような感じ、左肩から腕にかけてのしびれ・痛みとして感じることもあります。 また、痛みの程度は、冷汗を伴う強いものから、違和感程度の軽いものまであります。とくに糖尿病の患者さんは、病変の重症度に比べて、症状を軽く感じることが多く、注意が必要です。
狭心症の予防は、良くない生活習慣を改善することが大切です。
不整脈とは、平常時における心臓の鼓動が一定ではなくなる状態を指します。
成人平常時の脈拍は一分間に60回~80回で一定のリズムで脈拍をうっていますが、心臓が規則正しい収縮を行なわないために、脈が速くなったり、遅くなったり、飛んだり、乱れたりする状態を「不整脈」と呼んでいます。
不整脈には、健康な方にも生じる全く心配のない不整脈から、突然死につながる非常に重篤な不整脈まで多くの種類があります。この中で注意しなけらばならない不整脈の一つに「心房細動」があります。この不整脈は夏に脳梗塞の原因を作るため注意が必要です。
不整脈の原因はさまざまで、多岐に渡ります。
その中でも代表的なものは、心筋梗塞、心筋症などの心臓の病気が原因のものと自立神経失調症など、ホルモンや自立神経のバランスが崩れる病気が原因のものです。 この他にも、加齢やストレス、睡眠不足、喫煙、お酒(アルコール)の飲み過ぎ、運動不足なども原因となります。
不整脈になる半数以上の方は心臓に疾患を持っていますが、残りの半数は日常生活のストレスが原因で不整脈になっていると言われています。
不整脈になると、脈が一定でないために、動悸、息切れ、胸が苦しく感じたり、めまいや立ちくらみ、疲労感、吐き気、場合によっては意識を失うこともあります。ただし、不整脈が軽い場合、多くの人は自覚症状がありません。
ストレスや疲労をためず、規則正しい生活を送り睡眠を十分にとるなどの健康管理が不整脈の予防に繋がります。また原因となっている、良くない食生活と生活習慣の改善を行い、予防しましょう。
心電図検査(狭心症、心筋梗塞、不整脈などがないかを調べます)が行える最先端医療機器です。不整脈を正しく診断する為に、幾つかの診断方法がありますが、最も一般的で基本的な検査は、安静時12誘導心電図検査です。ベッド上で横になり手足と胸に電極を貼り付け、12ヶ所の心電図を記録します。しかしながら、一時的に心電図検査をしても心臓の状態は正確には記録出来ない事があります。そこで患者さんの日常生活に合わせ、一日分の心電図をテープに記録し、より詳しく心臓の状態を解析するのが、ホルター心電図を使用した24時間心電図検査です。もちろん入浴もできます。
日本では、近年、「不整脈」の方が増えており、その中でもとくに、脳梗塞を招きやすい「心房細動」が増えています。心房細動とは心房が不規則に高頻度で拍動する不整脈で、心房全体が小刻みに震えて心房における正しい収縮と弛緩ができなくなった状態で、脳梗塞の原因のひとつといわれています。
加齢とともに増加し、70歳代の5%、80歳代の10%程度の割合で起こる比較的起こりやすい不整脈です。日本国内に約130万人いるとされています。潜在的には200万人を超すともいわれており、高齢化が進んでいる日本では今後も増加が予想されます。
動悸や息切れを感じたり、胸の痛みや不快感、ふらつき、めまい、全身倦怠感などがあります。 慢性化すると自覚症状が軽減する場合がありますが、心房細動自体が治ったわけではなく、放置すると脳梗塞の症状が出る場合もあるため、注意が必要です。
心房細動の方は、脳梗塞が起こりやすい状態にあるため、脳梗塞を予防するためにも、お薬は毎日必ず服薬しましょう。
心不全とは、心臓の機能の低下によって血液が体内に十分に供給されなくなった状態で、その結果として身体にさまざまな症状がでる状態をいいます。一般的に、心不全は病気の名前だと思われがちですが、実際には心臓の機能が低下した状態のことを「心不全」といいます。
心臓の機能の低下は、心筋梗塞、狭心症などの心筋の病気、慢性的に心臓に負担がかかる高血圧に、ストレスなどを伴うことで引き起こされます。
主な症状としては、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、むくみなどがあげられ、「階段や坂道をのぼると息が切れる」「少し動いただけでも疲れる」「体がむくみやすくなる」などを感じたりします。
疲労感や倦怠感を感じるのは、心臓の機能低下のために全身の筋肉に十分な量の血液が行きわたらなくなるためとされています。 息切れや呼吸困難は、心不全の初期には軽い運動をした時に発生しますが、心不全が悪化すると、より軽い運動をした時や安静時、さらには横になっている時にも発生することがあります。
心不全を予防するためには、心不全の原因となる病気を予防することが大切です。心不全の原因となる疾患は、元は、ほぼ高血圧と動脈硬化に由来するため、高血圧と動脈硬化の予防が大切です。 良くない食生活、生活習慣を改善することにより、心不全のリスクが現象します。
動脈硬化とは、動脈にコレステロールや中性脂肪などがたまって、詰まったり、硬くなったりして弾力性や柔軟性を失った状態をいいます。動脈硬化になると、血行が悪くなり、血液が詰まりやすくなります。 動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳梗塞の原因となるため、注意が必要です。
動脈硬化を引き起こす原因は、さまざまなものがありますが、4大原因といわれているものは、「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」です。
「高脂血症・高血圧」は動脈硬化の2大危険因子、また、これに「喫煙」をくわえたものを 3大危険因子、さらに「糖尿病」をくわえたものを 4大危険因子といいます。
この他にも、肥満・ストレス・運動不足・良くない食生活などの生活習慣、加齢や遺伝なども原因と考えられます。
動脈硬化の原因・危険因子を多くもつほど、動脈硬化のリスクは高まります。
手足がしびれる、めまい、頭痛、動悸、言葉を発しにくくなる、足をひきづる、歩くと、太ももの裏側やふくらはぎに痛みを感じるなど、さまざまな症状があります。
しかし、動脈硬化は「沈黙の病気」といわれ、初期症状がほとんどなく、知らない間に進行していきます。そのため、症状を自覚したときには、かなり動脈硬化が進んでいる状態だといえます。
良くない生活習慣や、食事や運動などに気をつけるだけでも、動脈硬化の予防・改善の効果が期待できます。
動脈硬化と診断されても症状がないため、放置する方もいますが、動脈硬化は少しづつ進行しています。良くない生活習慣、食生活の改善に努めましょう。
手足がしびれる、めまい、頭痛、動悸、言葉を発しにくくなる、足をひきづる、歩くと、太ももの裏側やふくらはぎに痛みを感じるなど、さまざまな症状があります。
しかし、動脈硬化は「沈黙の病気」といわれ、初期症状がほとんどなく、知らない間に進行していきます。そのため、症状を自覚したときには、かなり動脈硬化が進んでいる状態だといえます。
良くない生活習慣や、食事や運動などに気をつけるだけでも、動脈硬化の予防・改善の効果が期待できます。
動脈硬化と診断されても症状がないため、放置する方もいますが、動脈硬化は少しづつ進行しています。良くない生活習慣、食生活の改善に努めましょう。
動脈硬化は、自覚症状がないので、「沈黙の殺人者」と呼ばれることがありますが、「CAVI(キャビィ)検査」によって、簡単に動脈硬化を発見することができます。
CAVI(キャビィ)検査では、“動脈のかたさ”、“動脈の詰まり”、“血管年齢”の3つを測定します。このCAVI(キャビィ)検査では、仰向けに寝た状態で、両足首と両腕の血圧脈波を測ります。 検査時間も短く終わる検査です。
動脈の硬さの評価とは。 CAVI(キャビィ)は、大動脈を含む、心臓から足首までの動脈硬化を反映する指標で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。大動脈の伸展性の定価は心疾患の発症や予後を規定する印紙となる事が知られており、早期診断と管理に役立ちます。さらにCAVI(キャビィ)は、測定時の血圧に依存しないため、血管固有の硬さを評価することができます。
当クリニックで採用している血圧脈派検査装置は、血管年齢が表示できます。CAVI(キャビィ)は年齢と良く相関することから、老化を反映する指標としての有用性が知られています。
ABI(エービーアイ)は、下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標、つまり、血管のつまりの程度です。 末梢動脈疾患は、心血管疾患、脳血管疾患など、他
臓器障害との合併が多く見られることから、早期発見が重要とされています。 血圧測定時の加圧を左右2回に分けているので、血液循環閉鎖回路をつくることがなく、患者さんへの負担を軽減することができます。