睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中にたびたび呼吸が停止したり弱くなることで、体に十分な酸素を取り込めなくなったり、熟睡できなくなったりする病気です。この病気がもととなり、ひどい場合は昼間に突然意識を失うように眠ってしまうことがあり、日中の仕事や車の運転など日常生活に支障をきたしてしまいます。
また、無呼吸状態が体に悪影響を与え、生活習慣病を引き起こし、放置すると生命の危険にさらされる恐れもあります。
一般的に睡眠時に10秒以上の無呼吸・低呼吸が、1時間に5回以上ある、または一晩7時間の睡眠中に30回以上現れるとようであれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群の検査は東横病院で行います。自分では十分眠っているつもりでも昼間に眠気があったり、身体がだるくて仕方がない、ご家族に睡眠中の呼吸の停止を指摘された方などは、一度検査を受けてみられることをおすすめします。まずは一度、ご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に上気道(空気の通り道)が塞がることで起こります。その原因は主に、次のようなものと考えられます。
日本人は小顎症が原因の方が欧米人と比較して多いといわれています。顎が小さいことにより、気道の面積も狭くなり無呼吸を起こしやすくなります。日本人は欧米人と比較して肥満の方は少ないですが、小顎症による患者さんが欧米と比較して多くいらっしゃいますので、罹患率は欧米とほぼ同等と言われています。肥満の人がかかりやすいと思われがちですが、このことからも分かるように、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満しているとは限りません。
ご自身で出来る予防法をご紹介します。但し、これらはあくまでも予防策ですので、もし自覚症状があったり、ご家族に指摘された場合などは、早めにご来院ご相談ください。
枕を高すぎると、首が曲がり、気道が狭くなりやすいので、なるべく低くして気道が狭くなるのを防ぎます。
仰向けに寝ると、睡眠中に舌がのどの奥に落ちやすくなり、舌が上気道を塞いでしまうため、横向きに寝ることで気道が狭くなるのを防ぎます。この場合、寝返りをうって仰向けにならない様に、枕の片側半分に折り畳んだタオルを入れて傾斜をつけるなど工夫します。
肥満解消することによって、気道周囲の脂肪が取れ、気道が狭窄しにくくなります。
寝る前に飲酒をすることによって、筋肉がゆるんでしまい、舌によって上気道が塞がれやすくなります。寝酒の習慣がある人は、控えましょう。
日中、口で呼吸していると、寝ている時にも口呼吸になります。口呼吸は大量に空気が入ってきますので、狭くなった上気道をと通る際に、のどが振動していびきになる事があるため、普段から鼻呼吸を心がけます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、「慢性に経過する(Chronic)、気道の内腔が狭くなる(Obstructive)、肺の病気(Pulmonary Disease)」で、肺の生活習慣病とも呼ばれる進行性の肺疾患です。
従来、「慢性気管支炎」「肺気腫」といわれてきた病気がこれに含まれ、両方が混在することも多いため、まとめてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ぶことになりました。
近年増加傾向にあり、患者の90%以上は喫煙が原因と考えられ「たばこ病」とも呼ばれていますが、一部排気ガスなどの大気汚染物質を吸い続けた人にも発症します。
自覚症状はあるものの、進行がゆっくりで病気と考えられることが少ないのも特徴です。 しかし、厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成22年1年間の慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎と肺気腫)による死亡数は1万6,293人で、死因全体の上位9位に(平成21年は10位)なり、今後、死亡原因の多くを占めるようになるであろうと予測されています。また全世界的に見ても増加しており、2020年までに全世界の死亡原因の第3位になると推測されいます。 また、以前は男性の病気とされていましたが、近年、若い女性を中心に喫煙率が上がっているため、女性にとっても注意すべき病気の一つです。女性は男性よりたばこの害を受けやすいといわれ、今後、女性の患者の急増が見込まれています。
肺気腫とは、喫煙経験のある高齢男性に多い病気のひとつであり、重篤な呼吸器系疾患です。
気管支の先端にある肺胞という袋状の構造が主に喫煙などの影響により破壊され機能しなくなり、その空いたスペースに空気が貯まって膨らんだ状態になっています。肺胞が機能しなくなるとガス交換の効率が悪くなり、体内では酸素不足を招き、様々な異常が起こります。
一度壊れた肺胞は元にもどすことができないため、早期発見・早期治療が求められる進行性の病気です。
近年、肺気腫と慢性気管支炎が慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病名にまとめられましたが、気流閉塞(空気が流れていない状態)を伴わないケースは、これまで通り肺気腫と診断されます。つまり肺気腫とは、物理的には肺胞が破壊されているが、空気の流れがある状態であり、空気の流れも遮断されていればCOPDと診断されることになります。
喫煙の影響が最も大きいと考えらます。この他に排気ガスなどの大気汚染物質を吸い続けた人にも発症します。 肺組織の老化や慢性の気管支炎、喫煙と大気汚染などが複雑に絡み合って、病巣が形成され、肺組織の老化が始まる40歳・50歳代のころに発病すると考えられています。
この中でも、息切れ、呼吸困難が主な症状で、入浴中や体を動かした時に強く現れる傾向があります。
慢性気管支炎は、気道の粘液の分泌が過剰になり、その結果、痰が多くなって、咳発作が長期的に継続する病気です。一般的には、痰と咳が2年以上連続し、毎年3ヶ月以上継続する場合と定義付けられています。近年、慢性気管支炎と肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病名にまとめて呼ばれるようになりました。
適切な治療を行えば問題はありませんが、放置すると、痰がたまって気道が狭くなり、気管支の壁が厚くなります。そして、柔軟性が失われ、ますます空気が通りにくくなり、肺の中の空気が新鮮な空気と入れ替わらず、必要なだけの酸素を肺から取り込めなくなってしまいます。このように、症状が進むと呼吸不全をともなう恐れもあるので注意が必要です。
上記の中でも特に、長期にわたる喫煙習慣がかかわっている場合が多くみうけられます。
気道狭窄(気道が狭くなる)の時におこる、発作性の呼吸困難を総称して、「気管支喘息」と呼んでいます。
呼吸にともなって、胸が「ゼイゼイ」、または「ヒューヒュー」という呼吸音を喘鳴(ぜんめい)といいます。この喘鳴が多いのが特徴で、発作が治まると何もなかったかのように普通の生活にもどる可逆性のある病気です。
COPDと気管支喘息は時に混同されて扱われてきました。数年前の日本呼吸器学会のガイドラインでも肺気腫、慢性気管支炎と気管支喘息との総称として扱われてきていました。しかし、気管支喘息は治療によって改善する可逆的疾患であるのに対し、COPDは「完全には可逆的でない気流制限を特徴とする疾患である。」と定義づけられるようになりました。
気管支喘息は気管支に炎症を引き起こす原因によって、アレルギー型と非アレルギー型に大別されます。 また、発症と悪化には、複合的な要因がかかわっています。
上記以外にも食品や薬品など、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に侵入することで、アレルギー反応が起こり、これが長時間続くことで気管支が「慢性的な炎症」を起こしてしまいます。
慢性的な炎症を起こしている気管支は、非常に敏感なため、その状態で冷たい空気を吸ったり、急に運動をしたりすると、気管支は過敏に反応してしまいます。アレルゲンには個人差がありますが、アレルギー体質は、高い確率で遺伝するとされ、家族や親族にアレルギー性疾患をもった人がいると、喘息を発症しやすいとされています。
発作は多くの場合、夜中から明け方にかけて起こり、日中はおさまる傾向があります。発作のないときはほとんど正常です。
気管支喘息は、息を吸う時よりも吐く時の方が苦しいのが特徴です。 あまりの苦しさに横になることもできず、肩で呼吸をするなどして、就寝が困難になる場合もあります。 気管支喘息が悪化すると話をすることも難しくなり、血液中の酸素が不足して顔色は真っ青に、唇や爪は紫色になり、場合によっては失神したり、呼吸困難で亡くなることもあるため、注意が必要です。
2006年4月から禁煙治療が保険適用されることになりました。 これは喫煙を単なる習慣や嗜好と考えるのではなく、タバコをやめられないのは、ニコチン依存症と言う病気として捉え、必要な治療を行うという考え方です。
ニコチン依存症は、医師やお薬の力を借りなければ、なかなか克服できるものではありません。 当院では、身体・精神的にサポートし、禁煙できるように導きます。 しかし、あくまで禁煙はご本人の「意志の力」が重要です。当院はそのお手伝いを致します。一緒に頑張りましょう!
※ 要件を全て満たさなくても、自由診療で禁煙治療を受けることも可能です。
TDSとはニコチン依存症かどうかを判定するテストで、10項目の質問に、「はい(1点)」または「いいえ(0点)」で答えます。合計点が5点以上ならば、ニコチン依存症とされます。
いかがでしたか?ニコチン依存症の疑いのある方は、どうぞご相談ください。
当院では、ニコチンを含まない飲み薬「チャンピックス」での禁煙治療を行っております。 以前はニコチンパッチやニコチンガムで、禁煙中、タバコの代わりにニコチンを補給することでイライラなどのニコチン切れ症状を軽くしてきましたが、ニコチンを含まない飲み薬「チャンピックス」は、ニコチンを含まず、イライラなどのニコチン切れ症状を軽くするほか、タバコをおいしいと感じにくくし、禁煙へと導きます!
呼吸不全とはひとつの疾患名ではなく、様々な疾患の結果として呼吸機能が低下した結果、血液中の酸素量が著しく減少し、十分なな酸素を臓器に送ることができない状態のことを言います。 原因となった病名と共に使う状態名のことです。 経過によって急性と慢性とに分けられます。 呼吸不全が起こりやすい年齢は、50~70歳代で、女性よりも男性に比較的多くみられます。
当院では慢性呼吸不全に対して、在宅酸素療法を取り入れており、慢性呼吸不全の改善だけでなく、患者さんの生活の質(QOL)に付いても、大きな改善をもたらしています。在宅酸素療法を始められたら、必ず定期的に診察を受けて、呼吸状態のチェックを行います。
呼吸は、息を吸う時に空気中の酸素(O2)を取り込み、吐く時に体内で産生された二酸化炭素(CO2)を排出します。この機能をガス交換といいます。肺の病気が進行すると、このガス交換がうまくできなくなり、呼吸不全の状態に陥ります。この呼吸不全が1ヶ月以上続く状態を慢性呼吸不全といいます。
急性呼吸不全は、呼吸不全の状態が急激に起こるものです。 風邪などの感染症によって、慢性型が急激に悪化する場合がほとんどです。この他に敗血症、神経筋疾患、重症の肺炎、間質性肺炎、気管支喘息の発作、気道閉塞、胸部打撲、やけど、ショックなどで、突発的に発症する呼吸不全の状態になる場合もあり、いずれも持続期間が1ヶ月未満のものが急性呼吸不全となります